はじめに
2025年5月28日、AnthropicはついにClaude CodeのVSCode公式拡張機能をリリースしました。これまでCLIツールとして提供されていたClaude Codeが、VSCode内で直接利用できるようになり、開発体験が大きく向上しました。
本記事では、Claude Code VSCode拡張機能のインストールから実践的な活用方法まで、徹底的に解説します。
Claude Code VSCode拡張機能とは
公式リリースの経緯
2025年5月28日: VSCode Marketplaceで公式リリース
背景:
- 従来はCLIツールとしてターミナルで動作
- ユーザーからの要望に応えて公式拡張機能を開発
- CursorのようなGUIベースの統合開発環境を実現
主な特徴
VSCode完全統合:
- IDE内でClaude Codeを直接操作
- ターミナルとブラウザを行き来する必要がない
- VSCodeの全機能と連携
直感的なUI:
- 右サイドバーにセッションコンソールを表示
- Cursorライクな操作感
- コード差分の視覚的表示
マルチエージェントワークフロー:
- 複数タスクの自動分割
- 並列処理による効率化
- タスク間の依存関係管理
インストール方法
前提条件
必要な環境:
- Visual Studio Code: 最新版推奨
- Node.js: v18以上
- Claude アカウント: ProまたはMax 5xプラン
ステップ1: VSCode Marketplaceからインストール
方法A: 拡張機能検索
1. VSCodeを起動
2. 左サイドバーの拡張機能アイコンをクリック
(またはCtrl+Shift+X / Cmd+Shift+X)
3. 検索バーに「Claude Code」と入力
4. 「Claude Code for VS Code」を選択
5. 「インストール」ボタンをクリック
方法B: Marketplace URLから直接
1. ブラウザで以下にアクセス:
https://marketplace.visualstudio.com/items?itemName=anthropic.claude-code
2. 「Install」ボタンをクリック
3. VSCodeが自動的に開き、インストール画面が表示
4. 「インストール」を確定
ステップ2: 発行元の信頼確認
初回インストール時:
1. 「Anthropic PBC」の信頼確認ダイアログが表示
2. 「信頼する」を選択
3. 拡張機能が有効化される
ステップ3: 認証
1. VSCode右下に「Sign in to Claude Code」通知が表示
2. 「Sign in」をクリック
3. ブラウザでClaudeアカウントにログイン
4. 認証が完了するとVSCodeに戻る
Windows環境での注意点
WSL経由でのインストールが必要:
# WSL(Windows Subsystem for Linux)をインストール
wsl --install
# WSLを起動
wsl
# WSL内でVSCodeを開く
code .
# WSL内で拡張機能をインストール
# 通常の手順と同じ
詳細: WindowsでVS CodeからClaude Code拡張を使う手順
基本的な使い方
インターフェース概要
┌────────────────────────────────────┐
│ VSCode │
│ ┌──────────────┬─────────────────┐ │
│ │ │ │ │
│ │ │ Claude Code │ │
│ │ エディタ │ セッション │ │
│ │ │ コンソール │ │
│ │ │ │ │
│ │ │ プロンプト入力 │ │
│ │ │ タスク一覧 │ │
│ │ │ コード差分表示 │ │
│ │ │ │ │
│ └──────────────┴─────────────────┘ │
└────────────────────────────────────┘
セッション開始
方法1: コマンドパレット
1. Ctrl+Shift+P / Cmd+Shift+P
2. 「Claude Code: Start Session」を実行
方法2: サイドバーアイコン
1. 右サイドバーのClaude Codeアイコンをクリック
2. 「New Session」をクリック
方法3: ショートカットキー
Ctrl+Shift+C / Cmd+Shift+C(デフォルト)
プロンプト入力
1. セッションコンソールのプロンプト欄にカーソルを合わせる
2. 自然言語で指示を入力:
例: 「このReactコンポーネントにダークモード対応を追加して」
3. Enterキーで送信
4. Claude Codeがタスクを自動分割して実行
コード変更の確認
差分表示:
1. Claude Codeがコード変更を提案
2. VSCodeの差分ビューアーが自動的に開く
3. 変更内容を視覚的に確認
- 赤: 削除された行
- 緑: 追加された行
4. 「Accept」または「Reject」を選択
複数ファイルの一括確認:
1. タスク一覧で変更されたファイルを確認
2. 各ファイルをクリックして差分表示
3. ファイルごとに個別に承認または却下
実践的な活用例
例1: AWS CloudFormationテンプレートの拡張
シナリオ
既存のCloudFormationテンプレートにALB(Application Load Balancer)を追加する
手順
1. プロンプト入力:
「このCloudFormationテンプレートにALBを追加して、
既存のEC2インスタンスをターゲットグループに登録」
2. Claude Codeが自動実行:
- タスク分割:
a. ALBリソース定義の作成
b. ターゲットグループの作成
c. リスナー設定
d. セキュリティグループの更新
- 各タスクを順次実行
- YAMLリソース定義を生成
3. 差分確認:
- 追加されたリソースをレビュー
- セキュリティグループルールを確認
4. デプロイ:
「このテンプレートをデプロイして」
→ Claude CodeがCLIコマンドを実行
例2: Next.jsアプリの機能追加
シナリオ
ブログサイトに検索機能を追加
手順
1. プロンプト入力:
「このNext.jsブログに全文検索機能を追加して。
Algoliaを使ってください」
2. Claude Codeの実行:
タスク分割:
- Algoliaライブラリのインストール
- 検索コンポーネントの作成
- 検索API RouteHandlerの作成
- 既存ページへの検索ボックス統合
- インデックス作成スクリプト
3. 確認:
- 各ファイルの変更を確認
- package.jsonの依存関係を確認
4. テスト:
「開発サーバーを起動してテストして」
→ Claude Codeがnpm run devを実行
例3: リファクタリング
シナリオ
クラスコンポーネントを関数コンポーネントに変換
手順
1. エディタでコンポーネントファイルを選択
2. プロンプト入力:
「この5つのクラスコンポーネントを
React Hooksを使った関数コンポーネントに変換」
3. Claude Codeの実行:
- 各コンポーネントを並列処理
- state → useState変換
- ライフサイクル → useEffect変換
- thisの削除
4. 差分確認:
- 変換結果をレビュー
- テストファイルの確認
5. テスト実行:
「すべてのテストを実行して」
→ Claude Codeがnpm testを実行
Cursorとの比較
機能比較
Claude Code VSCode拡張:
- 長所: 無料のVSCodeで利用可能、Claude最新モデルに対応、マルチエージェント機能
- 短所: ProまたはMax 5xプラン必須、拡張機能のカスタマイズ性が低い
Cursor:
- 長所: IDE全体が最適化、コード補完が高速、豊富なテーマとプラグイン
- 短所: 有料($20/月)、Claude以外のモデルも利用、エディタ移行が必要
使い分けのポイント
Claude Code VSCode拡張を選ぶべき人:
- VSCodeに慣れている
- 既存のVSCode環境を維持したい
- Claudeの最新機能を優先
- 複雑なマルチエージェントタスクを実行
Cursorを選ぶべき人:
- 新しいエディタに抵抗がない
- リアルタイムコード補完を重視
- 複数のAIモデルを使い分けたい
- オールインワンソリューションを求める
参考: Claude CodeとVSCodeの拡張機能比較ガイド
高度な機能
マルチエージェントワークフロー
概要:
複数のタスクを並列処理し、依存関係を自動管理する機能
使い方:
1. 複数タスクを含むプロンプト:
「Next.jsアプリ全体をTypeScriptに移行して:
1. すべてのJSファイルをTSに変換
2. 型定義ファイルを作成
3. tsconfig.jsonを設定
4. ビルドエラーを修正」
2. Claude Codeが自動実行:
- エージェント1: ファイル変換(並列)
- エージェント2: 型定義作成(並列)
- エージェント3: tsconfig.json設定(優先)
- エージェント4: エラー修正(直列、変換後)
3. タスク一覧で進捗確認:
- 完了: tsconfig.json設定 ✓
- 実行中: ファイル変換 75%
- 待機中: エラー修正
コンテキスト管理
選択範囲の自動追加:
1. エディタでコードを選択
2. 右クリック > 「Add to Claude Code Context」
3. セッションコンソールに選択範囲が自動追加
4. プロンプト入力時に参照される
ファイル参照:
プロンプト内で@記号を使用:
例: 「@src/components/Header.tsxのスタイルを
@styles/theme.tsのテーマ変数を使って更新」
Past Conversations機能
2025年9月30日追加:
過去のセッションを閲覧・再開する機能
使い方:
1. サイドバーの「Past Conversations」をクリック
2. 過去のセッション一覧が表示
3. セッションを選択して内容を確認
4. 「Resume」で続きから再開
トラブルシューティング
問題1: 拡張機能が自動インストールされない
症状
ターミナルでclaude-codeを起動しても拡張機能がインストールされない
解決方法
# 手動インストール
1. VSCode Marketplaceから手動でインストール
2. VSCodeを再起動
3. 拡張機能が有効化されていることを確認
# または、CLIから強制インストール
claude-code --install-vscode-extension
参考: Claude CodeのVSCode拡張が自動インストールされない事象への対応
問題2: Windows環境で動作しない
症状
「Claude Code does not currently support Windows」エラー
解決方法
# WSL経由で使用
1. WSLをインストール
wsl --install
2. WSL内でVSCodeを起動
code .
3. WSL内で拡張機能をインストール
参考: WindowsでVS CodeからClaude Code拡張を使う手順
問題3: 認証エラー
症状
「Failed to authenticate with Claude」
解決方法
1. ブラウザのキャッシュをクリア
2. VSCodeで再認証:
- コマンドパレット: Claude Code: Sign Out
- 再度サインイン
3. ProまたはMax 5xプランを確認
- 無料プランでは使用不可
問題4: セッションが重い
症状
レスポンスが遅い、フリーズする
解決方法
1. コンテキストを圧縮:
/compact コマンドを実行
2. 不要なファイルをコンテキストから削除
3. セッションを再起動
4. VSCodeの他の拡張機能を一時的に無効化
ショートカットキー
デフォルトキーバインド
セッション開始: Ctrl+Shift+C / Cmd+Shift+C
プロンプトフォーカス: Ctrl+Shift+P / Cmd+Shift+P
コンテキストに追加: Ctrl+Shift+A / Cmd+Shift+A
差分を承認: Ctrl+Enter / Cmd+Enter
差分を却下: Esc
カスタマイズ
// keybindings.json
{
"key": "ctrl+alt+c",
"command": "claude-code.startSession"
},
{
"key": "ctrl+alt+p",
"command": "claude-code.focusPrompt"
}
設定のカスタマイズ
settings.jsonでの設定
{
"claude-code.autoCompact": true,
"claude-code.compactThreshold": 100000,
"claude-code.showDiffInEditor": true,
"claude-code.autoAcceptSimpleChanges": false,
"claude-code.maxParallelAgents": 5,
"claude-code.defaultModel": "claude-sonnet-4-20250514"
}
推奨設定
{
// 自動コンテキスト圧縮
"claude-code.autoCompact": true,
// 差分をエディタで表示
"claude-code.showDiffInEditor": true,
// 簡単な変更は自動承認しない(安全のため)
"claude-code.autoAcceptSimpleChanges": false,
// 並列エージェント数
"claude-code.maxParallelAgents": 3
}
よくある質問
Q1: 無料で使える?
A: 拡張機能自体は無料ですが、Claude ProまたはMax 5xプラン($20または$100/月)が必要です。
Q2: CLIツール版と併用できる?
A: はい。拡張機能とCLIツールは独立しており、両方インストールして使い分けられます。
Q3: Cursorから移行すべき?
A: VSCodeに慣れている場合は移行の価値あり。ただし、Cursorの統合感も魅力的なので、用途に応じて選択を。
Q4: オフラインで使える?
A: いいえ。Claude APIに接続するため、常時インターネット接続が必要です。
Q5: プロジェクトごとに設定を変えられる?
A: はい。.vscode/settings.jsonでプロジェクト固有の設定が可能です。
まとめ
Claude Code VSCode拡張機能の主な利点
- VSCode完全統合: 慣れた環境で利用可能
- 直感的なUI: Cursorライクな操作感
- マルチエージェント: 複雑なタスクを自動分割
- 差分表示: コード変更を視覚的に確認
- 無料(Proプラン契約者): 追加費用なし
推奨される使い方
1. 日常的なコーディング: GitHub Copilot
2. 複雑な設計・リファクタリング: Claude Code VSCode拡張
3. 大規模プロジェクト: Cursor
今後の展望
2025年5月のリリース以降、急速に機能が追加されています:
- Past Conversations機能(2025年9月)
- マルチエージェントワークフロー強化
- Windows ネイティブサポート(開発中)
Claude Code VSCode拡張機能は、VSCodeユーザーにとって強力な開発パートナーになります。まずはインストールして、実際のプロジェクトで試してみましょう!